コラム FM小田原 犬猫の尿路結石について
犬猫の尿路結石について
担当 河井 有弘(かわい動物病院)
動物に結石なんて、、、と思われる方多いと思いますが、これは人間だけの病気ではなく、生き物なら犬でも猫でも他の動物でも起こり得る病気なのです。
結石というのは、体の中のミネラルなどが濃縮されて作られる石の様な物です。
おしっこは、腎臓で作られ、尿管(にょうかん)を通って、一時的に膀胱に溜められ、尿道(にょうどう)を通って外に排泄されます。この通り道にできる結石を“尿路結石“といいます。
今回は、その中でも、多く見られる、“膀胱結石”と“尿道結石”をご説明します。
以前は結石ができやすい犬種として、ポメラニアン、シーズー、マルチーズなどと言われていましたが、現在は種類に関係なく発症しているようです。年齢も5才以降におきやすいといわれていますが、私自身1~2才で発症した例も何件か診てきましたので、若いから大丈夫ともいえません。
結石ができる原因は、いまだ完全に解明されているわけではなく、遺伝、体質、泌尿器の形状、食べ物、飲み物、細菌の感染、尿の酸性度などが絡み合って発生すると言われています。
最初は顕微鏡でしか見えない“結晶”ができ始め、時間とともにそれが大きくなったり、数が増えたりして悪さをします。
膀胱結石になると、硬い結石が膀胱内の柔らかい粘膜を傷つけるため、ちょこちょこトイレに行くがまとまって排尿できない、おしっこに血が混じるなどの膀胱炎の症状が出てきます。早期発見で結石が小さければ、薬や病院食などの内科治療で治ることもありますが、大きくなってしまうと手術で摘出するしかありません。
また、膀胱内の結石が尿道に下っていき途中で詰まってしまうことがあります。これを尿道結石といい、緊急を要します。膀胱がぱんぱんに膨らみ、おしっこをしたくても、結石が尿道に栓をしてしまっているため、まったくおしっこが出せなくなってしまいます。この場合、直ちに排尿させないと命にかかわります。男の子の場合、尿道が細くて長いため、女の子に比べ注意が必要です。
尿道が詰まってしまう病気は、ネコちゃんの男の子で、よくみられます。しかも膀胱結石の症状なしに急に起こることも多くあります。こういう場合もまた、急いで動物病院に連れて行かないと手遅れになってしまうので注意です。
ワンちゃんでもネコちゃんでも膀胱炎、膀胱結石を発症して治ったとしても、再発を防ぐには定期的な検査と長期的な内科療法や食事療法などが必要です。何もしないでいるとほとんどの子が再発します。
結石になりやすい体質かどうかは、動物病院でおしっこ検査をすればわかります。おしっこ検査で危険性が高くても、きちんとした食事管理で発症を防げることもあります。
最後に、尿道結石は、緊急を要する病気の1つです。そんな時、もちろんかかりつけの先生に診てもらうのが1番ですが、万が一、病院がお休みの時、または深夜だったらどうしたらいいか、先生と相談して、事前から備えておくのも大事なことだと思います。