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コラム FM小田原 歯と口の中の健康(1)

歯と口の中の健康 Part 1

担当 井上京一(ドリトル動物病院)             

 今回は犬に関してお話しましょう。まず自分の犬の口をあけられるでしょうか?あるいは犬がおとなしくあけさせてくれるでしょうか?これが口の中の衛生管理の第一歩です。子犬ならば今日からでも歯ブラシ、歯みがきシート等で歯をみがく習慣をつけることが大切です。言うのは簡単ですが、継続することはなかなか難しいと思います。初めは遊び感覚で、おとなしくやらせてくれた時にはおやつをあげてほめてあげることをくり返すと、喜んでやらせてくれるようになるはずです。あとは毎日1回継続して行えればベストです。歯みがきをしなければ、犬の80%は加齢に伴い歯周病にかかると言われています。その原因は歯の表面に付着した歯垢です。歯垢は食べ物のかすと細菌のかたまりで、炎症を引き起こす原因となります。歯垢を放置しておくと唾液中のカルシウムが沈着して、硬い歯石となり歯みがきでは除去できなくなってしまいます。そして歯垢、歯石に接触している歯肉に炎症が広がり、歯肉炎をおこしてきます。さらに歯根部、歯槽骨にまで炎症が広がり、歯がぐらぐらしてきます。これを歯周炎と呼び、歯肉炎と歯周炎を合わせて歯周病と呼んでいます。口の中を見せてくれない犬の場合は口臭が強くなり、場合によっては歯がぐらぐらして歯肉からの出血が認められれば、かなりの確率で歯周病をおこしていると思われます。この場合は全身麻酔をかけて歯石の除去、歯を抜く等の処置をしなければなりませんが、高齢犬の場合は麻酔のリスクも伴うため、獣医師とよく相談して下さい。
 次に口の中に発生する腫瘍について簡単にお話します。発生場所は舌、歯肉、口蓋(こうがい)です。腫瘍が小さいうちは症状を示さないため、発見が難しく手遅れになってしまうことが多いです。また悪性腫瘍(がん、肉腫)は転移しやすく手術によって広範囲に切除しても、再発率が高いため予後はきわめて悪いと言われています。その意味からも早期発見が重要なので、毎日の歯みがきの習慣はとても大切です。 

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