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コラム FM小田原 フェレットの病気

フェレットの病気

足立衛紀(足立どうぶつ病院)

 <フェレットを知ろう>
 フェレットという動物をご存知でしょうか。
 フェレットはイタチ科イタチ属に分類される動物です。数千年前にエジプトでウサギやネズミ捕りのために家畜化されたものであるとされています。飼ったことがなくてもペットショップなどで見かけたことがある人は多いのではないでしょうか。とても愛嬌のある可愛い顔で、性格も非常に陽気で遊ぶことが大好きです。
 外国から輸入されるものが多く、生後6カ月未満でメスは避妊手術、オスは去勢手術、そして肛門腺という特異な臭いを発する部位を摘出されています。このようなフェレットを国内ではスーパーフェレットなどと呼び売られています。また、犬のジステンパーという伝染病にも感染するため、予防注射が接種済の場合もあります。
 アメリカでは非常に人気が高く、日本でもそのかわいらしさや飼育管理の簡単なことで人気が高まっています。
 その人気の高さからフェレットに関する様々な研究も進み、犬や猫などとは違った病気があることが解ってきています。
 今回はその特有の病気について代表的なものをお話ししたいと思います。

<代表的な病気>
異物の誤飲
 遊び好きで陽気なフェレットは遊びながらいろいろなものを食べてしまいます。フェレットの腸は細いのですぐに異物が詰まってしまい腸閉塞という危険な状態になります。フェレットを部屋になかで自由に遊ばせる時はフェレットの口に入るようなものはすべて片づけてください。また、異物を口に入れないよう注意深く観察してください。
 
尿石症
 フェレットには膀胱結石や尿道結石といった尿石症が非常に多く見られます。フェレットは完全な肉食動物です。そのためフェレットに植物性のタンパク質を与えると尿が酸性からアルカリ性に変化し、結石を形成する原因となります。
 フェレットにはフェレット用に作られたフードを与えなくてはなりません。

内分泌疾患
 フェレットの内分泌疾患(ホルモンの異常)は日常的に見られます。フェレットを診察する獣医師にとっては避けて通れない、頭を悩ませる病気です。早期に避妊手術や去勢手術をしてしまうこと、あるいは遺伝的な素因が要因になっているのではないかと考えられています。これらのうちのいくつかをご紹介しましょう。

1. 副腎皮質機能亢進症
副腎という臓器が腫瘍化して起こる病気です。症状は脱毛が尾から全身に広がっていきかゆみを起こしたり、水をたくさん飲んだりする症状を引き起こします。治療法は手術で副腎を摘出する方法が取られます。

 2.すい臓腫瘍
   これは通称インスリノーマといわれる腫瘍です。高齢のフェレットによく見られます。すい臓のインスリンというホルモンを作る細胞に発生する腫瘍です。その結果インスリンというホルモンが過剰に分泌され、低血糖を引き起こし急にふらついたり、立てなくなるような症状が現れます。治療は手術で腫瘍を摘出できれば行ったほうがよいのですが、発見した時には状態が悪く、手術ができないことが多く、そのような場合は内科的な治療になります。

2. 高エストロゲン症
 雌のフェレットの発情は早春に始まり交尾しなければ6ヶ月間もの間続いてしまい
ます。その間、エストロゲンというホルモンが出続けるため、エストロゲンの作用により重度の貧血を引き起こします。
子供を産ませる目的のないフェレットは避妊手術をする必要があります。

以上、簡単にフェレットの病気をご紹介させていただきましたが、犬や猫などの動物と異なり、動物種が違えば病気も異なります。もしこれからフェレットを飼いたいという方がいらっしゃいましたら、飼う前にフェレットの特性をよく調べてから飼うようにしてください。

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