小田原市・湯河原町・箱根町・真鶴町・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・中井町の獣医師で構成される団体です。

コラム FM小田原 かめの飼い方と病気

<カメの飼い方と主な病気>

担当 平澤史朗(平澤動物病院)

1. カメの飼い方
カメは一言で言うと、四肢(しし)と甲羅を持つ卵生(らんせい)のハ虫類です。全世界で約280種に及びその形態、生息地、食性などの生態は非常に多様です。ですから実際に飼育にむいている種類はほんの一部と考えてもらって良いと思います。飼育方法はその生息形態により大きく3つに分けられます。
① 完全水生種
水の中で生活し、産卵以外は陸に上がる事がありません。種類としてはウミガメ、スッポンモドキ、ヌマガメの一部ヘビクビガメなどがこれになります。
飼い方としては熱帯魚と同じ感覚で水槽に水だけ入れ、フィルター、水中ヒーター、ライト(紫外線がでるもの)が有れば飼えます。
② 水生種
水中で餌(えさ)を取り、体温調節・病気防止のために陸で体を乾かす種類。ミドリガメ、クサガメ、イシガメなどがこの種類になります。ケージは水槽が良く、水槽内に陸地の部分と水場の両方を作ります。水場は全体の50~70%にして、深さは甲羅の高さの2~3倍ぐらいが良いと思います。それにライト(紫外線)、スポットライト、水中ヒーターを付けます。
③ 陸生種
草原や半砂漠地帯、サバンナ地帯に生息している種類で陸ガメと言われています。
ホシガメ、ギリシャガメ、ロシアガメなどがこれにあたります。飼育方法は水を入れる必要が無いので、水槽以外にプラケース、衣装ケースなどでよく、それにライト(紫外線)、スポットライトを用意し、それ以外に特に寒さに弱いので冬はパネルヒーターも用意します。 
次にカメの食性をグループ分けすると草食性、雑食性、肉食性の3つに分けられますので、それぞれのカメに合った食事を与えて下さい。近頃は色々のカメ用フードが市販されていますので、それを使用するのが便利です。陸ガメはほとんどが草食性ですので、市販フードの他にコマツナ、チンゲンサイ、ダイコンの葉、タンポポなどを与えると良いです。また陸ガメは2~3日に1回位、甲羅1/3位の深さのお湯につける水浴をさせると良いです。どの種類のカメにも言える事ですがカメは排泄物が多いので、飼育環境をいつも清潔にしておく事が大切です。それにはあまりこったレイアウトにせずシンプルにしておく事をお勧めします。

2. 主なカメの病気
① 食欲不振 
これは新陳代謝不全、かぜ、肺炎、口内炎、結石などでおこります。カメは食べなくてもしばらく元気に生きていますが、一般的に食事を取らなくなった時には症状としては、だいぶ悪くなっているので直ぐ病院へ行った方が良いと思います。
② 皮膚病
これは細菌により皮膚、甲羅が赤くただれたり、かびの感染などが有ります。一般的に不潔な飼育環境から発生します。

③ 目の腫れ
日光不足(紫外線不足)、ビタミンA不足でおこります。食事の栄養バランスが悪いとおこります。
④ 甲羅の変化、軟化
カルシウム不足、日光不足でおこります。
⑤ 寄生虫感染
下痢の原因になります。

いずれの場合も病気を予防するには以下の4つにつきます。
・ えさのバランス
・ 日光浴(紫外線浴)
・ ケージ内の温度、湿度の管理
・ ケージ内を清潔に保つ事

カメの病気は悪化するとなかなか回復が難しいので、日頃の観察を十分にして早期発見に努めて下さい。

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