小田原市・湯河原町・箱根町・真鶴町・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・中井町の獣医師で構成される団体です。

コラム FM小田原 魚病(1)

魚病(1)

担当 飛田邦之(湯河原動物病院)

 金魚・鮒・錦鯉の病気について
1.細菌による病気 
 a.運動性エロモナス症(鱗立病・まつかさ病・赤斑病)
  発生:散発的で水温上昇期・水温下降期・酸素欠乏時など
  症状:鱗の逆立ち(松かさ様)・体表・各鰭・肛門の充血、内臓の腫れ・充血、腹水の貯留
  治療:抗菌剤の経口投与・薬浴(パラザン・パラざんD・グリーンFゴールドなど

 b.穴あき病(紅斑性皮膚炎)
  発生:5~7月で水温20~25℃の頃で、魚の取り上げや採卵後に、体表に傷つく事で発生、非定型エロモナス菌の感染へ他の  細菌感染が重なり増悪化
  症状:小さな白濁点から鱗が隆起し、その周りが赤くなり、鱗が脱落し筋肉が露出し、大きく広がっていく。
  治療:予防的に抗菌剤による薬浴、発症後は、抗菌剤の経口投与・注射・薬浴(水温25~30℃)・患部の殺菌・消毒

 c.カラムナリス症(鰓ぐさり病・口ぐされ病・尾ぐされ病など)
  発生:水温18℃以上で、若齢・稚魚期に多発
  症状:感染部位(背びれ・尾びれ・体表・鰓先端部など)に黄白色の菌の塊の小斑点が出現する。鰓の一部欠損・各鰭の欠損などで、元気なく浮遊し死に至る。
  治療:早期発見にて、抗菌剤の投与・薬浴

2.寄生虫による病気
 a.白点病
  発生:水槽飼育時・畜養時で、春・秋の低水温時に多発
  症状:鰓・体表・各鰭に1・以下の白点が出現、元気・食欲の低下
  治療:特効的な治療法はないが、病魚の速やかな除去・飼育環境の整備、0.5%塩水浴・ホルマリン・グリーンFなど

 b.腎腫大症
  発生:粘液胞子虫の感染による、0才の金魚で11~5月頃に多発
  症状:腎臓が正常の十倍に腫れ、上から見て左側の腹が張れ、くの字に曲がった様に見える。
  治療:有効な治療法はない

 c.イカリ虫症・チョウ症
  発生:4~9月
  症状:体表に、7~8・の淡褐色針棒状の虫体がイカリ虫・4~5・の淡黄褐色円形状の虫体がチョウ、いずれも肉眼で確認出きる。寄生部位の充血・出血
  治療:トリクロルホンによる薬浴、3週間おきに3~4回反復する。

 d.ダクチロギルス症・ギロダクチルス症
  発生:周年みられる。特に止水・ため池で飼育密度の高い池ほど流行しやすい。
  症状:顕微鏡で見ないと分からないほど小さな寄生虫で、大量に寄生すると鰓が白くなり、元気・食欲が無くなり呼吸困難にて死亡する。
  治療:トリクロルホンやホルマリンによる薬浴

 e.エピスチリス症
  発生:初夏の頃に多発
  症状:体表・鰭にイボ状の塊を形成し、大きく成ると鱗がはがれ、出血し穴あき症によくにた状態になる。
  治療:よく似た尾ぐされ病・穴あき病との鑑別をし、0.2%塩水8時間の薬浴または2%塩水5分以内の薬浴が有効

 f.水カビ病
  発生:水温20℃以下の晩秋から春に多く、水温の急変・スト
レス・スレ傷・細菌感染・寄生虫感染などに二次的に発症する。
  症状:体表に綿毛状の付着物が視られる。菌糸が伸びて組織を殺す事で、水分調節が出来なくなり、死に至る。
  治療:一次的原因の除去、メチレンブルーなどによる薬浴

3.その他
 a.うきぶくろ病(転覆病)
  発生:低水温時の冬・急激な水温の低下時に多く発症し、原因不明
  症状:腹部が片側性または両側性に膨らみ、腹を上にし転覆状態を呈し水面に浮いている。一時的には、水中に潜るがすぐに浮いてしまう。
  治療:有効な治療法はなく、徐々に衰弱し死に至る。

 b.乳頭腫
  発生:秋から春の低水温時に2~4才魚に多く、死亡する事は少ないが、鑑賞価値が下がる。
  症状:頭部・体表・鰭・鱗などに乳白~淡桃色のイボ状隆起物の出現
  治療:水温25℃以上で一週間以上飼育すると、見た目状は消
失する。

 c.卵巣腫瘍(腸満)
  発生:成熟したメスに発症
  症状:下腹部の膨満・背こけ症状・鱗立症状・眼球突出・腹水の貯留など
  治療:外科的摘出、予防的には毎年の産卵

以上、主な病気に付いて書きましたが、まだまだ多くの病気があります。飼育環境を常に良くする事が、予防になります。
次回があれば、熱帯魚の病気です。

追伸、薬については何処まで公表してよいか分かりません。

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