小田原市・湯河原町・箱根町・真鶴町・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・中井町の獣医師で構成される団体です。

コラム FM小田原 猫の腎不全

猫の腎不全

担当 馬場貴司(ぷるーと動物病院)

 猫の慢性腎不全は、腎臓の組織が少しずつ破壊され、機能不全に陥る腎臓の病気です。6歳以上の猫に多く、猫の死因の中で最も多い病気です。最近、水をたくさん飲むようになっておしっこの量が増えた、そんなときは慢性腎不全を疑ったほうがよいでしょう。

【症状】
慢性腎不全は少しずつ進行するため、目立った症状が現れるのは腎臓全体の4分の3ほどの機能が失われてからとなります。そのため飼い主さんが慢性腎不全に気づいたときには、すでに症状が悪化しているケースが少なくありません。慢性腎不全の主な症状としては、多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっこの量が増える)があります。また、食欲の低下や激しい嘔吐によって体重が落ちてしまうほか、貧血や脱水状態になることもあります。さらに症状が悪化して尿毒症に陥ると、全身の臓器にさまざまな障害を引き起こし、ついには死に至ります。

【治療】
慢性腎不全は、一度発症すれば治ることはありません。そのため、症状に合わせた食事療法や内科療法で一時的な緩和治療をおこないます。食事療法は腎臓への負担を減らすため、低タンパク、低ナトリウムの療法食に切り替えて猫がいつでも水分を十分に取れるようにします。内科療法では、慢性腎不全による高血圧を抑える薬や、腎臓の負担となるタンパク質などの物質を排出する吸着剤を使用することもあります。また、症状がひどい場合には輸液療法によって治療をおこないます。

【予防】
慢性腎不全は、ほかの病気から引き起こされることがあるため、定期的なワクチンの接種や室内飼育の徹底、飼育環境などを整え、原因となる病気をしっかりと予防することが大切です。また、タンパク質やナトリウムがたくさん含まれている食事を与え続けないよう栄養バランスの良い食事管理が大切になります。

慢性腎不全ははっきりと症状が現れにくいため、6歳前後から年に一度ほど、尿検査や血液検査などの定期検診を行うと良いでしょう。

powered by Quick Homepage Maker 5.1
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional