コラム FM小田原 猫の問題行動
猫の問題行動
担当 馬場貴司(ぷるーと動物病院)
猫の問題行動とは、猫と暮らしていく中で、飼い主さんが「困った」と感じる行動です。猫にとっては当たり前の行動なのに、人にとっては迷惑な行動もありますし、猫にとっても明らかに異常な行動もあります。今回は、実際に動物病院で相談を受けることが多い問題行動についてお話します。
【排泄に関する行動】
猫がトイレを突然使わなくなるには、なんらかの原因が必ずあります。その原因をきちんと突き止め、対処する必要があります。まずは、トイレへの不満です。猫はとてもきれい好きなので、汚れているトイレには行きたがりません。また、猫がゆっくり落ち着いて用を足せる状態でなければ、そのトイレは使いたくないのです。不安な状態を取り除き、安心してできるトイレをつくってあげましょう。また、「不安」や「不安感」に思い当たる理由がなければ、膀胱炎、尿石症などの泌尿器系の病気や、下痢、便秘、腸炎などの消化器系の病気、または多尿や頻尿を伴う病気などが疑われる場合がありますので、早めに動物病院に相談してください。
また、立ったまま少量のオシッコを壁やカーテンなどにひっかけ、自分の存在をアピールするスプレー行動は、なわばりを示すためのニオイつけの行動、いわゆるマーキングです。去勢手術も有効な解決策になりますが、すでにスプレー行動が習慣化している場合や、多頭飼育の場合には、去勢だけでは治まらないこともあります。スプレー行動を抑えるには、原因となっている不安状況を取り除くことが解決策です。また、猫が安心できる特定のフェロモン製剤を使用して、気持ちを落ち着かせる方法もありますので、動物病院で相談してください。
【不適切な爪とぎ】
「爪とぎ」は猫にとって大切な行動です。古い爪のサヤをはがして爪のお手入れをしたり、体を伸ばしてストレッチをしたり、なわばりを主張するマーキングの役割もあります。猫の習性であり、爪とぎそのものをやめさせることはできません。
不適切な爪とぎをやめさせるためには、不都合な場所以外で猫に爪をといでもらうように仕向ける必要があります。そのためには、猫好みの爪とぎの素材、スタイルなどを見極め、用意することが大切です。猫は爪とぎ器の素材や位置などにこだわりをもっていますので、猫が気に入る環境を提供することが重要です。爪とぎ器には、段ボール製、木製、カーペット製、麻布製などさまざまなタイプのものがあるので、いくつか試して好みのものを見つけてみましょう。爪とぎをされたくない場所には、猫の爪が立たないように保護をします。爪とぎの対象がソファやベッドならばツルツルのすべりやすい素材のカバーをかけ、柱やタンスならばプラスチックやアルミ箔などで覆ってガードしてみましょう。