コラム FM小田原 子宮蓄膿症
子宮蓄膿症
担当 馬場貴司(ぷるーと動物病院)
犬の子宮蓄膿症は、子宮内に細菌感染が起こり、子宮の内部に膿がたまる病気です。発情後2~3ヶ月でおこりやすく、1歳ほどの若い年齢でなることもありますが、通常は5歳以降に多くみられます。
子宮内にたまった膿が膣外に出てくる「開放型」と、膿が出てこないで子宮内にたまってしまう「閉鎖型」があります。
【症状】
子宮蓄膿症になると、熱がある、水をたくさん飲む、おしっこの量がふえる、お腹が膨らむ、などの症状があらわれます。症状が進行すると、嘔吐や下痢、食欲がなくなる、元気がなくなる、といった症状もみられます。放置していると、子宮が破れて腹腔に細菌が漏れ、腹膜炎を引き起こして死に至る場合もあります。
【治療】
内科治療と外科治療がありますが、基本的には外科手術によって子宮と卵巣の摘出を行います。特に、子宮の入口が閉じたままで膿の出ない「閉鎖型」の場合は、子宮内に膿がたまる一方で、いつ子宮が破裂してしまうか分かりません。また、膿がたまった状態が長かったり、急に症状が悪化してくれば、異常増殖した細菌の毒素が体内に回って命にかかわる状態になりかねませんので、できるだけ早く症状を発見し、外科的治療を行うことが大切になってきます。
【予防】
子宮蓄膿症の最善の予防策は、避妊手術です。若い時期に適切な避妊手術を受けていれば、子宮蓄膿症などの子宮感染症にかかる恐れは全くありません。そのうえ、一歳になる前の初回発情前後に避妊手術をしていれば、乳腺腫瘍の予防に役立つことにもなります。
避妊手術をしていない場合は、普段から愛犬の陰部の清潔を心がけることが大切になります。また、年を取るにしたがって免疫力も低下するので、それを補うために、わんちゃんの心身の健康管理に十分に注意しましょう。