小田原市・湯河原町・箱根町・真鶴町・南足柄市・開成町・大井町・松田町・山北町・中井町の獣医師で構成される団体です。

コラム FM小田原 ノミ・マダニの予防

●ノミ・ダニ予防について

担当 石川正樹(ほたる動物病院)

今回はノミとダニについてお話します。

①ノミについて
 ノミは野良猫や散歩中の他のワンちゃんからうつります。ノミのジャンプ力はすごく、近くにノミに寄生した子がいれば簡単に飛んできてうつってしまいます。網戸越しでも野良猫についたノミが入ってくる事もあるのです。そして、犬や猫に寄生してしまったノミの成虫は24~48時間後にその体の上で卵を産み、卵は体から落下してペットの寝床やカーペット・畳などで孵化します。そして幼虫を経てサナギになり最短2週間で成虫になります。そのサイクルが何度も繰り返されると、鼠算式に増えて大量発生してしまいます。ノミのライフサイクルは室温が13℃以上あれば十分なので、暖房の効いた部屋の中で発生し一年中家の中にいる可能性もあります。
 
 一般的にノミが寄生すると、体の痒み・脱毛・湿疹が出てきます。特にノミのアレルギーを持っている子は、一匹のノミがいるだけでも全身の激しい痒みにつながります。その他、ノミを飲み込んでしまった場合、瓜実(うりざね)条虫(サナダムシ)という寄生虫にかかる事もあります。猫にはヘモバルトネラ症という貧血を起こすものもあり、ノミやダニが媒介します。また、人にうつる「猫ひっかき病」という病気もあります。この病気はノミから直接人にうつるわけではなく、猫に引っかかれたり噛まれたりすると爪周囲にいるバルトネラという菌が体内に入り、リンパ節が腫れて発熱や頭痛を引き起こす病気です。この菌はノミが猫から猫に運び爪の周囲で増殖します。また、ノミは人にもさすのでスネ辺りがプツプツとかゆくなる事もあります。

②ダニについて
 ダニは皮膚の柔らかい顔の周りや耳周囲に良く見かけます。血液を吸ってコロコロとした虫を見たことはありませんか?山や川原・公園・庭などの草むらに生息するので、草むらに顔を突っ込んだあと見られることがあります。ダニは一年を通して繁殖・成長していき、夏には大人のダニが最も多く、卵を産み、秋には孵化して子供のダニから徐々に成長していきます。夏から秋にかけて、アウトドアや行楽地に行く機会の増えるこの季節は、ダニのいる場所に近づく事が増えるため、より注意が必要です。
 また、ノミと同じように人にも動物にも病気を運ぶ存在でもあります。犬にはバベシアという原虫が赤血球を破壊して貧血や発熱・血尿を起こす病気です。その他、ライム病は人にも動物にも感染し、人では初期は皮膚の赤い斑点、その後神経症状・関節炎などの症状が見られるようになります。
 
このように、ノミとダニは動物の皮膚の痒みだけでなく、病気伝播の原因にもなり、人に関しても人獣共通感染症の伝播の役目も持ちます。従って、特にこの季節は寄生予防や駆除薬を使用していく事をお勧めしています。首の後ろにつけるスポットタイプの物なので、痛くもかゆくもありません。詳しくはお近くの獣医師会会員の動物病院にご相談ください。

追記)2013年1月30日の記事に、今までは日本になかったダニを介して感染する”重症熱性血小板減少症候群(SFTS)”が発生し死者がでました。より一層のワンちゃん・猫ちゃんのダニの予防が必要となります。
 ノミ・ダニの予防として、最近では背中につけるスポットタイプのほかに、飲み薬でも予防できるようになりました。詳しくは小田原獣医師会会員病院にお聞き下さい。

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