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コラム FM小田原 うさぎの飼い方と病気

ウサギの飼い方と病気について

担当 清水敦志(ミユキ動物病院)

今回はウサギの飼い方についてお話します。
なぜ飼い方からお話するかと思われるでしょうが、ウサギはまだまだペットとしての認知度が低く、間違った飼われ方をしている場合が多く、実際に飼育方法の誤り、特に食事管理の誤りが元で病気になる事がいまだに多く、正しい飼育管理をすることで、健康に飼育する事が出来ます。
では、始めにウサギの生理学についてお話します。
ウサギは草食動物です。そのため犬猫に比べて非常に複雑な消化システムを持っています。特に盲腸は非常に大きくお腹の中のほとんどを占めています。
盲腸の中では食べた植物を栄養に換える細菌がいて、うさぎに栄養を与えます。明け方に、自分の肛門から便を食べることがありますが、これは盲腸便(栄養便、夜便))といって、ウサギの重要な栄養源になります。時折、正常便に混ざってケージに落ちていることがあります。(下痢と間違わないようにしましょう。)
ウサギは吐くことのできない動物です。部屋に放しているとき異物などを飲み込んだり、自分の被毛が胃の中で貯まったりして毛玉になっても吐きもどすことができません。

次に日常して欲しい事をお話します。
毎日して欲しい事では、
ウサギと良く触れ合うようにしましょう。そうすれば、正常時のうさぎの身体をよく知ることができます。
トイレをチェックしましょう。硬くて丸い糞に大きさや形の違いがないか調べてください。これは腸に問題があるかの指標になります。尿の状態(濃い白色や灰色の尿をみつけたら、1〜2日前に大量のカルシウムを含む食事を摂取したかもしれません。
大量に毛が落ちていないか。(毛球症に気をつけなければいけません。)
毛球症予防のため毎日数分でもクシやブラシをかけてあげて余計な被毛を取り除きましょう。
毎週して欲しい事では、
徹底的にウサギの生活エリアの清掃をしましょう。
目や鼻から分泌物がないことを確認しましょう。
耳の奥まできれいかどうかをみましょう。
毎月して欲しい事では
爪切り、足の裏が腫れたり、化膿していないかをみましょう。
歯のかみ合わせがうまくいっているかをみましょう。
被毛の状態や皮膚の状態を観察しましょう。

次は、飼育環境についてお話します。
ケージで飼う場合は、ウサギ用のものが販売されています。床はスノコ(木製)や金網のものがあり、スノコはオシッコなどが拭き取りにくく不衛生になりやすく、金網は爪などが伸びすぎていると網に引っかかり怪我の原因となります。また床が硬すぎると足の裏に炎症が起こったりします。今の段階で優れたケージは無いように思えますが、木製のスノコを複数枚用意して、毎日取り換え、洗浄乾燥して使用する事をお勧めします。
放し飼いの場合は、異物や電気コードなどを食べたり、齧ったりしないように気を付けましょう。また、誤って踏みつけたりする事故も多いので気を付けなければなりません。
トイレはウサギ用の物が市販されていますのでそれを使用するか、トレーなどを利用しましょう。トイレは毎日掃除しましょう。猫用のトイレ砂やペットシーツを取り替えるだけではなく、水洗いもせめて何日かおきにすると清潔です。オシッコの結晶はアルカリ性なので、酢で溶かしてから拭くと簡単に取れます。

最後に食事についてお話します。
最初にお話したように、食事管理の誤りが元で病気になる事がウサギは本当に多く見受けられます。
これからお話する事は出版されている本と食い違う点もあるかと思いますが、
すべて医学的根拠に基づくものです。
犬や猫の飼主はドックフードやキャットフードで飼育されている方がほとんどです。実際それで何の問題もありません。ウサギの食事としてラビットフードが売られているので、犬や猫と同じくウサギにもラビットフードだけ与えている飼主がいらっしゃいますが、ウサギの場合は問題があります。
ラビットフードとはどういう物なのでしょうか?
ウサギがペットとして飼育されるようになったのは最近のことです。それまでは食肉用や毛皮の生産に飼育されていました。生産性を上げるために手間がかからず、早く成長するような食事が必要となり、ラビットフードが登場したのです。そのため、内容的にはアルファルファなどの高タンパク、高カルシウムの植物を用いられたものがほとんどです。成長期や妊娠期の食事には適しますが、大人になってもそればかり食べていると消化器疾患、肥満、泌尿器疾患、そして呼吸器障害などのもとになってしまいます。
では、どういった食事内容が良いのでしょうか?
食事は干し草と野菜を中心に与え、ラビットフードは制限して与えるようにします。
ついついラビットフードを中心に与えてしまいがちですが、これは消化器疾患のもっとも大きな原因となります。ウサギの胃腸機能は粗繊維分が豊富にないと正常に働きません。ペレット中心の食事を与えていると胃の動きも悪くなり、ひいては毛球症や胃鬱滞の原因となってしまいます。ラビットフードは1日に2回、軽くひとつまみ程度の量で充分です。
干し草は主にアルファルファ種とチモシー種が市販されていますが、カルシウム含量が低く、低カロリーのチモシー種を常時たっぷりと与えましょう。牧草は、不正咬合、毛球症に予防効果があります。
野菜は緑黄色野菜を与え、ネギ類、イモ類、豆類、刺激物などは与えないようにしましょう。果物類はおやつ程度に少量ならば与えてもかまわないでしょうが、与え過ぎに注意してください。

繰り返しになりますが、ウサギは飼育方法の誤りが元で病気になる事がいまだに多く、これまでお話した事に気を付けながら、正しい飼育管理をすることで、健康に飼育する事が出来ます。

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